欧州にはただひとつの国があればよい。

それは、女王陛下による支配か。それともカトリックによるプロテスタントの放逐か。

いずれにせよ、ヨーロッパの版図に王者は二人は要らぬ。
引かぬ、媚びぬ、省みぬ。

血みどろの宗教戦争が、今再び沸き起こる予感を胸に、ヨーロッパは踊る。
カトリックの忠実なる僕、フランスとプロテスタントによる女王陛下の国、イギリス。

結局おまえら仲悪いってことでFAでいい?w


1939年

1月1日
前年、民主化を浸透させるべく武力闘争を求める国民の声に応じるように、アメリカは連合に同盟を打診。イギリスは超大国アメリカの軍事同盟入りを不審に思いながらも、枢軸との戦いには欠かせないとこれを承諾。

ヨーロッパでの勢力拡大を狙うアメリカと、世界の支配者イギリスの末期を迎えはじめていたプライドが合致してしまったのだ。

後の、お正月同盟である。

アメリカとの関係改善を望んでいた山本五十六はこの報を聞き、アメリカがついに日本との決定的な決別に近い宣言をしたのだと後に回顧している。が、実際のところ日本軍も中国大陸の戦線が長引いており、陸軍はそれどころではない。まして、あの件以降アメリカの態度は硬化の一途を辿っている。
石油の交易も規模を縮小され、海軍はその力を十分に発揮できず、陸軍の自動車・戦車もすでにお荷物となりつつあった。
陸軍は主戦力を歩兵師団に完全に移行させ、戦線の安定化を図る。
そんな中、国民党は共産党を完全に飲み込み、共産党の山岳部の要塞を確保。沿岸部も時折南京まで押し寄せるという始末である。
ここへ来て、中国の底力が発揮されたといってよいだろう。それもこれも皆、アメリカの物資援助あってこそではあろう。
この泥沼化がかの国の謀略だとすれば、我々が平和主義者と踏んでいた読みは、とんでもない思い違いをだったのかもしれない、と記された日記も確認されている。
まさに如実に現実を見据えたものではあるが、だからといって中国との和平が実現するような状況でもない。そして、五十六もまた陸軍を引かせられるだけの力はないのだ。

連合国入りしたアメリカは各国から最先端技術を相互に交換し、技術開発をさらに推し進める。

そして9月。
チェコスロバキアの分割、スロバキアの建国を経てポーランド南部からの侵攻ルートを確保したドイツは、メーメル割譲後、ポーランド回廊の割譲をポーランドに要求する。
「ダンチヒか戦争か!」で有名なアレである。よろしい、ならば戦争だ。の回答も有名ではある。
ポーランドとの保護条約を結んでいたイギリス・フランスは即時にこれに対応、ドイツに宣戦布告する。

ちなみに、ナチの領土拡大と武力行使ばかりが目に付くが、実際問題当時のポーランドも結構な武闘派であり、イギリスの軍事援助との取引には対外攻撃に出ない、などの条件を厳しく突きつけられていたりもする。
いってみりゃどっちもどっちなのである。なんていうとポーランドの人に怒られるから言わない。
連合とて決して民主的だったかというと介入しまくりだし、たいして偉そうな事はいえないのだ。

史実と異なるのは、この宣戦布告の際に連合国にアメリカがいる、というとんでもない点を除けば歴史どおりである。そして、独伊軍事同盟が未成立であることも重要である。
同じファシズムを標榜しながら、ドイツの拡大路線に危惧し、加えて連合にアメリカが加わったことに恐れをなしたのか、ムッソリーニはドイツとの共同戦線に二の足を踏んだのだ。
そして、その危惧が現実となった。

アメリカ軍の動きは速かった。というか準備が済んでいた。太平洋艦隊、大西洋艦隊ほぼ全艦隊が、最小限の守備兵力を残して欧州に駆けつけたのだ。対日警戒は、中国ががんばっている間は必要ない、と踏んだのだ。
ドーバーを基点にロスリン・キールの両軍港は瞬く間に海上封鎖を受ける。

唯一その監視の目をくぐりぬけ外洋に出られる可能性のあったUボートも、対潜水艦哨戒のアメリカ軍の潜水艦12艦以上が常に北海をうろつきまわるという惨状。加えて対艦爆撃機までうろついている。
両軍港の目前は星条旗を掲げた艦船であふれ、出航しようものなら即座に轟沈させられた。かといって航空戦力で殲滅しようにも、アメリカ軍空母による絶え間ない空軍基地と軍港への爆撃は休むまもなく、キール・ロスリンはほぼ沈黙したと言ってよい。
ちょび髭はこの報告を聞いてアメリカが我々を枯渇させる!と激怒したという。

ルーズベルトはにたにた笑いながら、うれしいけどこれが戦争なのよねーw などとほざいたという。

また、輸送艇30艦隊以上がフランスはマルセイユなどに陸軍を上陸派遣。9師団からなる陸軍大隊が3大隊、3師団からなる大隊が5大隊ほどを引き連れて次々と上陸。連合とドイツ軍はスイスとベネルクス三国のマジノ線で激しく睨みあったのである。間にたたずむはヴォージュ山脈とローヌ川。ドイツ軍は天然要塞を利用して連合の動きを封じた…つもりだった。

後年の歴史家はそのときのルーズベルトを「どうしようもないバカか天才のどちらかだ」と評している。そもそも騎兵隊を主体としたアレを戦車隊を引き連れたコレと同じに論じているあたり、バカとしか思えない。

「ピレネーが越えれてヴォージュが超えれぬ道理などない! ナポレオンに出来て、勇猛な合衆国軍に出来ぬはずもあるまい! 山脈と川を越えろ! ファシズムを打ち倒せ!」
この号令の元、アメリカ軍全師団がヴォージュ山脈を越える。アホか。
何度読んでも民主主義国家の大統領のせりふとは思えない。どう見ても独裁主義かファシズムです。本当にありがとうございました。

天然要害の向こうにはドイツ師団が手薬煉引いて待ち構えるが、突如山脈を越え夜の闇に乗じて襲い掛かるアメリカ軍。
リヒやメスの空軍基地からは戦略爆撃機が編隊をなして空爆支援を行い、制空戦闘はまるっきしイギリスとフランスに丸投げするアメリカ。撃墜されたらそのとき、である。潔いというかなんと言うか。
もっとも、運悪くドイツの主力空軍はキールで半数が痛めつけられ、暫く出撃できない状況でもあった。そもそも、爆撃機もそれなりの大集団で動いているため、数機編隊の攻撃機ではしとめ切れない、というところもある上、たまに迎撃機などが護衛についていたりして、運が悪いと撃墜される始末である。

アメリカ軍の多大な犠牲の元に作られた橋頭堡は、その背後からマジノ線に配備されていたフランス陸軍が防衛基点として流れ込み、周辺の州を飲み込んでいく。ちなみにイギリスの陸軍はヒキコモリっぱなしである。なんて役立たず。

11月、戦線の拡大を引き起こし、イギリスへの不満が高まる中、アメリカ・フランス連合陸軍は一気にドナウ河畔まで到達する。この頃になって、やっとアメリカ海軍のいくらかが連戦から疲弊し、数艦が沈没させられたため、海軍は一旦ドーバーで軍の再編。
18艦隊からなる戦艦隊を主軸に新規建造された新型空母、新型戦艦、新型重巡を加え、総計50艦を超える艦隊がロスリン・キールを再封鎖。

それなんていじめ?

ドナウ河畔での戦闘は、ようやくポーランドを屈服させたドイツ機甲師団が転進して西部戦線へ向かってきていた。しかし、生憎の冬将軍、機甲師団の足取りが思うように進まぬ中、ニュルブルリンク、ザルツブルグを落とし、リンツでの防衛戦闘でやっとアメリカ軍の進軍が止まる。すでに、ウィーンが視野に入ってしまっていた。

ここへきてちょび髭は断腸の決断を下す。
「デンマークとベネルクス三国に宣戦布告する。アムステルダムとコペンハーゲンを確保しろ!」
キールが使えないのがそんなにむかついたのか。しかし、これはさらに最悪の事態を招いた。
宣戦布告を受けてベネルクスは連合に参加。
ベネルクス三国を通過できないからわざわざ山間部を伝ってやってきていた陸軍が、平野部を通ることが出来るようになったのである。加えて、ベルギーの軍事力が決して小さくはなかった。

オマケにデンマークもまた小国ながらがんばった。何せ、ドイツ相手に打って出て、数州を占拠したのである。もっとも、防衛軍事力の維持が出来ず、機甲師団の通過ついでに奪還されたりしていたが、決して引く事はなかった。

ちなみにイギリスは空爆しかしていない。海上封鎖にたまに顔を出すが、「お、やっとるかね!」と一声言って帰っていく。ドーバー海峡で停船している空母の大艦隊は何の真似なのか。せめて艦砲射撃で陸軍の援護とかする気はありませんかそうですか。
イギリスへの不満は、おそらくフランスでも高まっていたのだろう。もっとも、島国であるイギリスが大きな陸軍師団をそもそも保有していなかったんじゃないのかって話もあるのだが、そこまで考えが及ぶほどフランス人も物事をよく考えるわけではない。そもそも、うぃ、むっしゅーまどもあぜるとれびあーんだけで出来ている人種に複雑な思考が出来るとも思えない。

戦火の中ルクセンブルグがドイツに制圧、それをフランス軍がその日の午後には奪還。三日天下どころではない。
ところが、どうやらイギリスの及び腰と役立たずっぷりから自国の拡大と連合の中での位置向上を狙ったものか、フランスはルクセンブルグを併合してしまう。

一方、極東は泥沼どころの話ではなくなり始めていた。いつ終わるとも知れぬ抗日戦線は延々と続いており、日本も国民党もそろそろ自分たちがなんで戦っているのかわからなくなり始めているのではなかろうか。
加えて日本は石油資源の確保に躍起になっていた。補給物資・さまざまな地下資源を代償にアメリカに話をしに行っても「いやーほら、うちも戦争中でさー。どーもちょっと分けてあげられないのよねー」などとあしらわれてしまう始末。
窓の外にはアイドリングしたまま止まっている官僚の高級車がずらりと並んでいて立ちくらみを起こしそうである。地球温暖化とか考えろよ馬鹿。ってそれは時代が違うな。
どんだけ余ってんだ、この国は、と喉元まででかかった言葉をぐっと飲み込む。今、アメリカとの関係悪化を招けば、日本はどこから石油を恵んでもらえばよいのか。
連合から分けてもらうにしても、連合各国も対独戦争であまり気前はよくない。
ソ連? 交易がまともに出来る相手じゃない。そもそも共産圏はファシズムと敵対関係である。
中東? 軒並み連合と枢軸諸国の植民地だ。

…東南アジア。そのほとんどが連合の植民地だが…。
ヨーロッパから遠いこの植民地なら。あわよくば。

外交官の脳裏をよぎった不穏当な考え。それすらもアメリカの日本追い込み政策だったとしたら。
そう思うとぞっとする。
「いや、それはわかっておりますが!」
外交官は再び粘り強く交渉を再開した。


…もちろん失敗したのだが。

0 thoughts on “欧州にはただひとつの国があればよい。

  1. 三冬@モチベーション探してます (’’ の発言:
    ツノ3本→マ○サ○
    至極単純じゃないかと
    匿名解除である。どういう連想記憶だこの人。

  2. 話の流れから「マ○サ○」が何かは分かりましたが、
    どーやってあの無線LANホストからそれが出てくるのか分かりません。(´・ω・`)
    と思ってバンDイのサイトに見に行ったんですが・・・
    アレですか。肩アーマーですか。

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