伍長　つーわけで、日本を傀儡化したわれわれは実質的にユーラシア全土およびアフリカ全土を支配したこととなる。
電撃　連合の盟主であるイギリスがこちらについているため、もはやどの国も連合加盟できません。
白髪　ひでぇ話っていうかどう考えてもパラドのバグだろそれ。
伍長　まあ実際、連合で生き残ってるのはオーストラリア、カナダ、ニュージーランドといった太平洋国家だしな。いまさら彼奴等に何ができるとも思えん。
電撃　これでほぼ世界大戦は終結しましたね。
白髪　バルカン半島ですこしいざこざがあって小国が独立したが、さしたる問題ではないな。もはやあそこは火薬庫ではない。ドイツの支配下にある以上、くだらん火種でくすぶれば叩き潰す。


伍長らはユーラシアの支配力の拡大のため、チベットを併合。数日で戦争が終結。
こうして、第二次世界大戦は終了をみた。ドイツの大勝利という結末をもって。
残る対立国家は南北アメリカを中心とする国家群だが、太平洋大西洋の向こう側のことなど、伍長の知ったことではなった。そもそも大西洋の向こう側は滝になっているので国などあろうはずもない。

伍長の世界はえらく狭かった。

電撃　終結が1950年ですか。長かったですねー。
白髪　なぁ。ちょっと気になることを小耳に挟んだんだが。
電撃　なんだデブ。いってみろ。
白髪　なんだとこのはげ。
ふね　～～～♪
垂目　～～～～～♪

電撃　…。
白髪　…。
電撃　なんだ、あの二人の妙な上機嫌は。
白髪　それだ。実はな。

電撃　Z計画・改・MkIIだとっ！？
白髪　なんでも大規模な海軍整備計画が秘密裏に進んでいるといううわさを耳にしたんだ。チベット侵攻も一時的に空軍・陸軍をベルリンから遠ざけるためのあのちょび髭野郎の悪巧みだと。

フォン・ブラウン　～～～～♪♪

電撃　ぉぃ。なんでフォン・ブラウンまで上機嫌なんだ。
白髪　それなんだがな。なんでも象さんが支えてる海のはしっこの滝まで届くロケットを作ってもいいとか言われたとかで。
電撃　いつの時代の世界観だよそれは。天動説万歳か！？
白髪　それだけじゃない。ハイゼンベルグの野郎がなんでも緊急招集を食らったとか、ポツダムが立ち入り禁止にされて大規模な工業設備が建設中とか、妙なうわさが多いんだ。
電撃　なーんかたくらんでる気がするな。せっかく戦争が終わったってのに。

伍長　闘争は終わることなく、闘争こそわが人生！

電撃　うわさをすれば…。
白髪　おいひげ。Z計画・改・MkIIってなんだコラ。
伍長　何を言ってるんだお前は。
電撃　ただのうわさだというのですか。
伍長　Z計画・Zweiだ。間違えんな。略してダブルゼータ計画。
白髪　事実かよっ！！！！！

白髪　～～～～！！！
電撃　はあああああ！？

伍長　だから、何度も言わせんなよ。原子力空母を中心とし、超重クラスの最新鋭戦艦を駆逐艦隊からなる全天候対応攻撃艦隊を5艦隊ほど作る。空母だけで25艦、戦艦、駆逐艦合わせれば90艦からなる艦隊だな。
白髪　すでに対日戦で同規模の艦隊が4艦隊存在するんだぞ！？
電撃　旧式艦とはいえ、それでも45年前後に開発されたばかりの最新鋭艦ですよ。たしかに原子力艦ではありませんが、それでも、艦船の償却を考えればまだまだぜんぜん現役です！

伍長　まあ、そうなんだがほら。ひこーき乗せ忘れちゃったからレーダーたちに超いじめられてな…。飲むしかなかったんだ、あきらめてくれ。
白髪　そりゃマズいですよ。ただでさえ、海のむこーでトルーマンはドイツの今回の方針を強く非難してきています。傀儡政府の解体を要求してきているのですよ？
電撃　そこへこんな海軍計画が露呈すれば、アメリカとの強烈な対立は避けられなくなります。まさか、海の向こうまででしゃばる気ではないでしょうね。

伍長　うん。。。まあそこなんだよな。太平洋の旧ドイツ領も取り返しちゃったし、私としてももう荒事は避けたいんだが。
電撃　実際ゲーム自体二日経過させるのに5分くらいとまるときがありますしね。一年進めるのに何時間かかるんだよって重さになってますし。
伍長　だからもうこれ以上やりたくないんだ。

ハイゼンベルグ　おや、閣下こんなところに。お喜びください！　原子爆弾ができました！！！

電撃　…。
白髪　…。
伍長　…。

フォン・ブラウン　閣下。こちらでしたか。大陸間弾道ミサイルの開発、終わりましたよ。いつでも生産可能です。

電撃　ぉぃ。
白髪　コラ。
伍長　……。

電撃　何か言えよコラ。
白髪　言い訳は聞くだけ聞いてやるぞぉぃ。

伍長　……えっと…ほら。なんかけ、研究してみただけだよほかにやることなかったし。

電撃　（やる気だよな、これ）
白髪　（間違いねぇな。今のうちに殺しとくか？）

伍長　なあ、なんか君ら不穏な空気が漂ってんだけど。

電撃　（どうやって殺すよ。失敗したら史実のヒムラーみたいなことになるぜ？）
白髪　（なぁに、いまここで俺がモーゼルで一発ぱん！！とやりゃ全部終わる）

伍長　…うう、なんかよくない気がする。逃げたほうがいい気がする。

ポルシェ　閣下、こんなとこにいらっしゃいましたか。パンツァー戦車の改良型、レオパルドが完成したのでぜひお見せしようと。グデーリアン元帥とマンシュタイン元帥にも是非見ていただきたいのですが。

電撃　よし、アメリカとやろうじゃないか。
白髪　見せろ見せろ。そして使わせろ。闘争だ闘争だ！

伍長　…君らもレーダーの同類だったのかぉぃ。

電撃　で、いつから始めるんですか。
伍長　1952年当たりかと思ってるよ。トルーマンの堪忍袋もそのあたりで切れるだろう。
白髪　連中が強くなりすぎるんじゃないのか？　現時点でも300師団を超える師団を保有してるんだぞ。
ふね　そして30隻を超える空母もね。こちらの空母は20隻少々。
垂目　ドクトリンの関係で同数勝負なら彼らの方が有利なのですよ。

電撃　どっから沸いて出た、貴様ら。
ふね　最初からいましたってば。ZZ計画の完成は必須なのですよ、彼らとの戦争にはね。
垂目　原潜もほしかったのですが、さすがにそこまでやるとなるといくらわが国でも生産ラインに無理が出ます。陸軍の改良にそれほど影響が出ないように進めるのはこれが精一杯なのです。
白髪　ふん、うまくやりやがったな貴様ら。これで空軍とは独立した海軍航空隊の整備は必須、って言いたいわけか。
垂目　よくわかってらっしゃるじゃないですかｗ

伍長　まあゲーリングにも空軍増強計画とジェット機の増産を打診してある。
電撃　なるほど。根回し済み、というわけですか。陸軍をチベットくんだりに追い払う理由がその時間稼ぎとはね。
伍長　それだけではないがな。さすがに中国南部にアメリカが居座るのはこちらにとっても都合が悪い。
フォン・ブラウン　そう、大陸間弾道ミサイルではないにしろ、戦略型長距離ミサイルならば中国南部を確保されているとユーラシアの半分がその射程に入ってしまう。
白髪　続々と沸いて出てくるな、ぉぃ。
伍長　属国の安全保障も本国盟主の役割だとは思わんかね、グデーリアン。
電撃　それに異はありませんがね。対話路線はなかったのですか。
伍長　10回くらいクーデターを試みたが失敗したｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ
白髪　それ対話ちげぇ！！！！

トルーマンはドイツの海軍増強計画が明るみに出ると、即座にこれに対して強い批難声明を発表する。南米諸国の一部もこれに同調し、アメリカはさらなる海軍補強計画を打ち出し、最新鋭空母艦隊の増産を決定した。
また、臨時大統領であったトルーマンの任期の終了とともに、アメリカは第二次世界大戦の英雄、ドワイト・アイゼンハワーを選出、ドイツとの対立姿勢をさらに深めていく。

ここに、欧米の対立は決定的なものとなり、50年からの時代は”冷戦”と呼ばれる構造に入った。

大英帝国のかつての連邦国、現在の連合各国はこの対立に関して一歩身を引いたところに起き、不干渉を早い段階で決定。欧米の対立に関していずれにも与しない中立を宣言。

アイゼンハワーは積極的な軍事拡大路線に走り、ドイツもまたこれに呼応するかのように軍拡を進めた。
東西の対立は、大西洋と太平洋を挟んで一気に高まり、中国とアメリカの国境ではあわただしい国境線への軍事配備が行われた。

後に、長江線と呼ばれる軍事対立ライン。

そして、些細な発砲事件を機にこの緊張は堰を切ってあふれ出すのである。
上海事件。ドイツ領上海に駐留していた第63機甲師団野営地に向け、アンチマテリアルライフルによる長距離狙撃があったとドイツが公表。これをアメリカ軍によるものであると断定批難。
アメリカは「そもそもアンチマテリアルライフルはまだこの時代このゲームでは実装されていない」と至極尤もな反論をしたのだが、ドイツはこれを無視。

戦端は、切って落とされたのである。1952年、6月26日。数日後にリベリアが参戦、これは即日降伏。7月1日フィリピンが参戦。
連合各国は宣言どおり中立の立場に入り、ドイツ陸軍は怒涛の勢いで中国駐在のアメリカ軍を駆逐。
満足な抵抗もできないまま、アメリカ軍は9月には中国の放棄を決断するに至る。

戦闘は、太平洋での激戦に突入することとなる。

大西洋は開戦まもなく新造艦隊のひとつが移動中にアメリカ軍主力艦隊の急襲を受けほぼ壊滅。別艦隊が呼応して展開するも、主力艦隊群として火力集中するアメリカ海軍に押し出され、大きな損害をこうむる。だが、アメリカ軍も大きな被害を受け、お互いに海の反対側まで撤退。
以後、ささやかな小競り合いが続くものの、お互いに決定打が打てないまま、ポルトガル沖は両軍入り乱れてのサルガッソーとなる。

アフリカは、平穏そのものだった。ていうか誰もこんな土地要らない。

次回。「穿たれる、核」