オーパーツ。OOPARTS。沙耶です。みなさんオーパーツってどのくらいご存じでしょうか。
Out Of Place ArtifactSの略語である。直訳すれば、場違いな工芸品。
日本語では時代錯誤遺物、などとも訳されますね。
どんなものか、というと、”その時代、その場所の科学力、技術力では到底作りえない物品、あるいは知りえない事象が記されたもの”。
UFO研究家になるにはこのオーパーツが偽であることを脳裏から追放することが第一歩となります。
アダムスキー型円盤は事実だって言ってんだろ!!!!!(違
では、どんなオーパーツが現存するのか見てみましょうか。
・アステカの水晶髑髏
水晶の塊を丁寧に研磨し、人間の髑髏そっくりに作り上げた遺物。もっとも代表的なのは、アステカの遺跡から発見された、ヘッジスの水晶髑髏。
水晶は非常に硬度の高い物質で、非常に割れやすいため、その加工には高い機械製作技術が必要となる。もし、人間の手で研磨したならば、ゆうに数百年という単位で研磨し続ける必要があるという代物。
現在までに10個の水晶髑髏が発見されているが、そのうちのいくつかは19世紀後半の贋作であることが判明している。大英博物館に所蔵されているブリティッシュ・スカルや、スミソニアンにあるカール・スカルも同年代のもので、アステカ時代と科学的に確定されたものは記憶にない。HP社によるヘッジスのスカルの年代測定も年代不明とされている。
また、ヘッジスの髑髏に関しても、ヘッジスの発見したとされる日付と彼の渡航記録が錯誤しており、アステカでの発見である、という点には疑問が投げかけられているっていうか嘘だろwwwwww
また、水晶髑髏のうち、博物館所蔵でないもの、つまり個人所有品はそのほとんどが科学測定を拒否している。推して知るべし。
・コロンビアの黄金スペースシャトル
こちらも有名な一品。ただ、スペースシャトルに似ているのがある!ってだけで、他に山ほどちっとも似てない黄金製品が大量にある、という事実を隠せば立派なオーパーツとなるわけである。
つまりはそういうこと。適当な形で一杯黄金製品作ってたらそのうちのいくつかが現代の宇宙船に似てましたね、って話であり、単なる確率論だったりする。
信奉者からすると非常に流体力学的に理にかなっているそうである。で、他の黄金細工を見てみると、目があったり尾翼の形がいろいろだったりして、一般的には鳥だの魚だのに近い形。つまり、それを模して作ったもの、って可能性が非常に高いわけですよ。
そりゃ流体力学的に理にかなった形になるよねwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
熱帯魚やる人にはよく知られた、プレコのような魚に似ていて、たぶんそれを模した細工といわれてる。
という事実は存在しないからまず脳内から追い出しておいてほしい。UFO研究家になるつもりなら。
古代人は宇宙船に乗っていたと思っといた方が幸せだということもあるかもしれない。
・コスタリカの石球
信奉者によると、石球がつくられた当時は誤差のほとんどない真球であった、という話らしい。が、現存するものでそれを証明するものは今のところ確認できない。数はたくさんあるが、年代的にBC300~AD500のどっかそのへんでつくられたんじゃねーの、というきわめてアバウトかついい加減な年代測定のおかげでまったく面白みがないオーパーツ。ようはよくわかんねーってのが結論である。
多分古代の暇な人が延々時間をかけて削ったんじゃないかといわれているが、そもそも地域の人も伝説的な寓話もなく、なんでそんなもんがあるの?みたいな調子なので、なんとも神秘性に欠ける。
ぶっちゃけただの丸い石なので、それほど興味はない。そもそもそんなこと言い出したら手の表面だけでミクロン単位の誤差を修正しながら真球を加工する町工場のおっさんとかは生きているオーパーツとしか言えない。あいつら最終的にはやすりしか使わないんだぞ。それこそ数百年前とやってることが変わってないのである。まちがいなく変態である。
信奉者には科学的によくわかんないものは”科学的に証明できない”と誤変換され、さらに”現在の科学でも証明できない”と誤変換されて世に出てくるので注意。
単に科学証明をするだけの客観材料がないだけである。焼畑農業のせいで炭素測定法も使えねぇんだろうし。
・ピリ・レイスの地図
こちらも有名なオーパーツ。オスマン帝国の海軍軍人であったピリ・レイスが作成した現存する2つの世界地図のうち、1513年に描かれた地図のこと。1513年の何がオーパーツなんだよ16世紀じゃねぇかって?
驚くなよ? 1513年といえばアメリカ大陸が発見されてまだ20年たらず。にも拘わらず、この地図には”アメリカ大陸の正確な形”が記されている。そればかりか。
アメリカ大陸の南にはなんかよくわからない大陸が。
アメリカ大陸の南にある大陸って一個しかないよね!ってことで信奉者の中ではこれは当時まだ未発見のはずの”南極大陸”の地図であるとされる。
でもよく見たらなんか我々の知ってる南極の形じゃないよ?って言い返したらこう言われた。
「何言ってるんだ!これは氷がない状態の南極大陸の形と一致する!!!」
然様ですか。じゃああなたがいう南極大陸ってとこに書かれてる南アメリカ在住のグアナコさんっぽい動物の絵はペンギンかなんかですかね。あと、注釈で”灼熱の砂漠”って書いてあるんですけど。
「極が動いてた証拠だ!」
然様ですか。海岸線的には南アメリカに近いんですが…。ついでになんかおもいっくそ地名が書いてあるんですけどー…南極とは書いてないですね…。
「うっさい黙れ!」
というわけで世界で初めて南極大陸が描かれたのはピリ・レイスの地図です。それもX線測定しないと測定できない陸地部が描かれている最初の書物で、きっと超古代の人が測定して描いたのをピリ・レイスがコピーしたんです!
と、信じておくと幸せかもしれない。
さて、そろそろまがい物にも飽きてきたころではないだろうか。
このへんからホンモノと行こうか。
・錆びない鉄柱
アショカ・ピラー。偶然の生み出した産物ともいえるが。インド・デリー郊外にあるこの柱は、99.72%の純鉄であり、リンを含むダマスカス鋼でできているとされる。製造年代はBC415年。そして、現在にいたるまで、この柱はほとんどさびていない(多少はさびてる)。
錆びない鋼としてはステンレスが有名ですが、これはほぼ純鉄であり、酸化するのが本来の姿。ダマスカス鋼もさびにくいとは言え、さびる。日本刀などに使われる鋼も、鋳造されることで酸化被膜を形成し、さびを防ぐ。ダマスカス鋼も、鋳造鋼の一種なのだ。
しかし、ご存じのとおり日本刀も手入れを怠ればさびるのだ。
雨ざらしのアショカ・ピラーが錆びない理由。それには諸説あるが…リンク先を覗いてみればいいんじゃないかなw
メカニズムとしてはステンレスと同じ。リン酸による酸化被膜を作り上げた鉄なのだ、これは。
さらに、ひとびとが油を塗った手で撫でていたことにより、日本刀でいうところの”手入れ”も行われた。
油膜、酸化被膜、そして鉄。この三層構造になることでこの柱は錆びずに1500年以上も存在しているのである。偶然の生み出した産物とはいえ、見事なシロモノ。
・アンティキティラ島の機械
クレタ島付近の海底から発見された、無数の歯車の重なりあった不思議な機械。人々は超古代のコンピューターの部品だと言ってみたり、機械人形の部品だと言ってみたりした。
その正体。それは、天球儀。天体の運行を知る計算機。それが、この正体。そのメカニズムの精緻さには恐れ入るところ。
古代ギリシャの科学力の高さを世に知らしめた一品で、歯車を複数組み合わせギア比を使って天体の差分運行を示す、というまさに計算機であったのだ。
もちろん、上記以外にも未解明のオーパーツは多々存在する。疑問をさしはさむ余地のあるものもあるが、それでも謎、というものはないわけではない。
有名なところでは、アメリカの五億年前の地層から発見された三葉虫を踏んだサンダルの足跡の化石。
これ一個なら偶然そういう風に見えるって話かなぁ?って思う(実際発見当初は偶然説が主力仮説である)が、同じ地層から翌年、さらにとんでもないものが発見される。
”人間の子供と思われる裸足の足跡の化石”である。
五億年前。当たり前の話だが、まだ人類は影も形もない時代。哺乳類が地上の覇者になるのはまだ先の話なのだ。
バグダット電池も有名なオーパーツだ。電気のでの字も知らない時代だが、電池は作れたのである。
おそらく金属メッキのために使われたと予測されているが、なんでそうなるのかは知らないが作り方だけは知ってる、という古代の人々の智慧に驚くばかりだ。
さて、それではそろそろ笑い物にしかならないオーパーツも紹介しておこうか。
・コソの点火プラグ
あまりにも有名といえば有名だが…。アメリカのコソ山脈で発見された不思議な物体。発見者が見るに、どうもエンジンなどに使う点火プラグに見える。
しかし、その物体に付着したモノから判定した年代は、なんと50万年前なのだ!
鑑定の結果はこうである。
「これは間違いなく点火プラグである。それも、1920年代にアメリカのチャンピオン社によって造られた点火プラグに間違いない」
タイムスリップが!とか言い出すのはちょっと待ってほしい。
なぜか。
だって50万年前の地層から、って鑑定した地質学者が誰かを教えない(発見者が)。
しかも現物はなくなった(発見者が)。
ついでに言ってることがころころ変わる(発見者が)。
結論:多分泥かなんかにまみれた点火プラグをゴミとしてほったらかしといたのがそのへんに転がってったんじゃね。
最後に、極め付けの一品といこうか。こいつは、正真正銘の贋作である。
そして、世界最高峰の贋作だと言ってよい。そして、世界最高峰の本物、の一つでもある。
たとえば、どっかの数学者のおっさんみたいに、証明するにはスペースがたらん、とか言いはなって数百年間、人々の脳みそをこねくり回しやがったどっかのだれかさんと匹敵するシロモノだといっていい。
スペースがたらんなら紙をもう一枚用意しろと言いたい。小一時間問い詰めたい。お前のせいでどれだけ世界が回り道したと思ってやがんだフェルマーの野郎。
ここまで読んで、ああ、アレか。ってわかる人はたぶんいろいろ生き方を間違えてるので人生を見つめ直した方がいい。
・ヴォイニッチ手稿
それは、一冊の書物。書かれている文字はこれまでの地上にあるいかなる文字とも類似しない。文法も、単語も、まったくみたことがない。
そしてそこには、みたこともないような植物、動物、天体などの様々な挿絵が挟まれ、その書物は実に100ページを超える。
何時、誰が、何のために記した書物なのか、今だにその正体は判然とはしない。
発見されたのは1912年、イタリアモンドラゴーネ寺院書庫にてアメリカの古書収集家ヴォイニッチが発見した書物である。彼は、すぐさまこれを持ち帰ると、古文書学者、暗号学者、歴史家、言語学者、哲学者、植物学者や天文学者にすらそのコピーを送り付け、解読を依頼したのである。
そして、その結果は、全敗。それは、古代語でもなく、暗号でもなく、言語体系的にも現代に残るあらゆる言語との共通点が見られず、描かれた植物、動物、天体についての記録は”地球上に現在確認されている”既知のいずれとも類似を見ないものである。ということがわかっただけだった。
こうして、ヴォイニッチ手稿は一躍オーパーツの檀上に躍り出る。
先に書いたように、これはれっきとしたまがい物、だ。だが、それはある意味で本物である。
では、正体を明かそう。
この書物、実はまるっきりのでたらめによって記述されたでたらめ本であろう、というのが現在の定説である。
現在はこのでたらめの生成の仕方を突き詰めているところだ。ある程度の範囲までであれば、その手法は次第に明らかになりつつある。
そして、でたらめだとしたら、作成者はおそらくこいつ、という目星も立っている。
ではご覧いただこう。これが、ヴォイニッチ手稿だ。
統計学的にはこの書籍はでたらめではありえない、何らかの規則性と言語的特性、もしくは暗号文的特性を有している、と証明された。そして、初期に証明されたこの証明が、この書籍を困難なものにしてしまった。
カンダングリルとよばれる原初的な暗号化手法で、原文のない状態からでたらめな単語を人工言語的に生成する手法が最近判明した。
だが、それだけではこの書籍が”でたらめである”と決めることはできない。でたらめであることを証明するには、この書籍が暗号ではないことを証明しなければならない。
それはつまり、悪魔の証明に他ならない。
でたらめである場合、その犯人は誰であろうか。
その目星は、ジョン・ディーとエドワード・ケリーではないかといわれている。
中世の錬金術師にして稀代の詐欺師。彼らは、この書籍を作り上げ、ボヘミア王ルドルフ二世をだまし、金を巻き上げるために作り上げたでたらめ本。
ジョン・ディー。イギリスの錬金術師。ラヴクラフトに慣れ親しんだ人ならば、一度は聞いたことのある名だろう。
アラビア語のある書籍を、英語に翻訳して写本にしたのが彼だとされているのだから。
ジョン・ディー版ネクロノミコン。不完全な死霊祭祀書。だが、実際の歴史的な彼の業績は魔術の分野においておそらくそれに匹敵するほどにも大きい。
彼の残した文献から生まれたのが、ギルドを端にして結集したイギリス最大の魔術結社、黄金の夜明け団(ゴールデンドーン)であるし、カバラの秘術を極めたとされるのがこの団体だ。中でも、創始者の一人、マクレガー・メイガースは魔術師として著名であり、彼の記した”Mの書”はカバラの秘術の中でももっとも高尚な魔術書とされている。
そのマクレガー・メイガースの魔術の基礎は、このジョン・ディーの残した文献を解読したことから始まるのだ。
エドワード・ケリーはディーとともにエノク語と切っても切れない縁を有する。もはや魔術史においての一世風靡を巻き起こした名称がすでにすさまじい数羅列されている状態である。
ぶっちゃけこの二人の仕業と比べると、パラケルススやカリオストロ伯爵がなんてまじめで実直なんだと思えるほどに。
いずれにせよ、このヴォイニッチ手稿はフリーメーソン、カバラ、薔薇十字団、そしてゴールデンドーンなど、西洋での魔術史におけるもっとも中枢をなした団体のいずれとも深い関係を見出すことができる。
それゆえに、この書籍を単なるでたらめであると一蹴してしまうには、あまりにも重いバックグラウンドを背負ってしまっているのだ。
だが、それを証明することができない。悪魔の証明を覆すことができない。
だから、今だに人々はこの書籍の中に何らかの意味がある可能性を類推し、解読に挑み続けている。
オーパーツ界のフェルマーの第三定理、それがヴォイニッチ手稿だと言っていいかもしれない。
それゆえに、この本は、”まがい物でありながら、世界最高峰の本物”なのだ。
まがい物でありながら、まがい物であるはずの魔術史を明確に映す鏡、そして魔術においてはどう見ても本物、としか言いようのないバックグラウンドを有しうる書物。
魔術書は世間に広く知られてはならない書物であり、その一端を映す鏡としては恐ろしいまでの本物の光を放っている書籍なのだ。
あなたなら、どれを信じる?