巨星、堕つ

コロニー落としの話じゃないので、念のため。

沙耶です。


SF作家で有名な、アーサー・C・クラーク先生がお亡くなりになりました。
SF好きーって言ってるやつでこの人を知らないとかぬかしやがったら間違いなくそいつはSFなんか読んだこともない人です。
このお方と、アイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインラインの御三家を知らずして20世紀のSFは語れないでしょう。

アイザック・アシモフ先生はご存じのとおりロボット三原則を提唱された方。
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

これですね。SFにおいて登場するロボットの多くがこの三原則の元に設計されている、とされ、ロボット三原則回路だとか、それが破壊されたから反乱がおきるとか、のちのSF作家に多大な影響を与えました。

ロバート・A・ハインラインは夏への扉で有名ですね。
他にも名作としては、宇宙の戦士や異星の客、月は無慈悲な夜の女王などが著名作です。どれも名作。
夏への扉はその中でもずば抜けてはいますが、なっつんとかほいみんとかは月は無慈悲な~は読んでおくべきだと思います。理由はいちいち書かないけれどwww
※けよりなのモチーフと言われてるそーです。けよりなやってないから知らないけどさ。

現在まで存命だったのは20世紀SF三巨頭とよばれたこの三人の中で唯一クラーク先生だけです。
最後の巨星が堕ちました。

御高齢なのでいつ亡くなってもおかしくはなかったのですが、老いてなおぴんぴんしつつ様々な講演などもこなしていたのでこいつはきっと西洋の妖怪バックベアード様かなんかで不老不死の秘術でも宇宙でみっけて来ているものだと思っていました。

それにしても最近はそういやあまり噂を聞かないな、と思っていましたが…。

スリランカで悠々自適の生活を送るとともに、60とか70の癖に海でダイビングをやったりとあほとしか思えないアグレッシブさで人生をエンジョイされていた妖怪。
クラーク先生の有名どころでは、2001年宇宙の旅シリーズはまあ言うまでもないのでおいておきますが、やはり名作と言えば幼年期の終わり、でしょうね。夏への扉と並んで、SF読みなら読んでおくべき名作。
19世紀のSF読みが海底二万マイルを読んでませんって言うのと同じくらい恥ずかしいことかと思いますので読んでおきましょう。

これが1953年に刊行されている、というのが驚くべきことです。

アシモフとクラークの間ではアシモフ-クラーク同盟が結ばれ、お互いを最高のSF作家と賛美し合いましたが、それに見合うだけのものを生み出したという点ではどちらも巨星でした。

1984年に封切となった2010年宇宙の旅では、映画の製作に関して監督との間でパソコン通信を利用したやり取りを行い、その記録を「オデッセイ・ファイル―アーサー・C・クラークのパソコン通信のすすめ」として刊行しています。
HAL9000かわいいよHAL9000。
方やスリランカ、方やロサンゼルス、この二人をパソコン通信で結びつけたわけです。SOHOの草分けというべきかもしれません。
衛星通信に関する技術者でもありました。この前年に公開されていたのがかの有名なウォーゲーム。日本では、やっと初めて草の根BBSが開局したばかり、といった頃です。
※アマチュア無線を利用してパケット通信を行う手法はそれ以前からありました。

アメリカってすげぇ!みたいなのが空気として存在した時代ですね。強いアメリカの象徴のような時代でした。
今のようにSFがすこしふしぎ。なんて揶揄される前の、骨太の、本物のサイエンス・フィクション。
SETI@Homeへの寄与も少なくありません。SETI@Homeのニュースリリースにはこのような文章が踊っています。

March 18, 2008
Arthur C. Clarke, visionary science fiction writer and friend of the SETI@home Project, passed away today at the age of 90.

われらの友、という非常に突出した言葉でSETI@Homeとの関与の深さは十分にうかがい知ることができるのではないでしょうか。

この方の有名な言葉としてはクラーク三法則。特に最後の一つが有名ですね。クラークの言葉と知らない方も少なくないかとは思いますが。

・高名だが年配の科学者が可能であると言った場合、その主張はほぼ間違いない。また不可能であると言った場合には、その主張はまず間違っている。
・可能性の限界を測る唯一の方法は、不可能であるとされることまでやってみることである。
・充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。

最後の条項はいろんなところで引き合いに出されたりもしますので、みたことがある方は少なくないのではないでしょうか。

個人的にはアシモフのエッセイが飄々としてて大好きですね。
自然科学入門とかねw

御冥福をお祈りするとともに、スターゲートの向こう側の世界をエネルギー生命体になってわれらに知らしめてくれんことを。
良き旅路を!

…次はレイ・ブラッドベリですかね…。

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