RMTの話 その1(長文注意)

さて、ちょっと長いので今日はメモ帳で書いてからのアップ。
沙耶です♪

某所でRMT問題が妙に騒ぎになっているのでちょっと考えてみた。
沙耶はRMT反対ですが、とりあえず規約でどうのこうのって話じゃないとこで反対してたりします。

どっちが悪い、いい、なんて二元論に落とし込む気も有りません。規約違反なんだからいい悪いで言ったらそりゃマズいにきまってるけど、だからどうしたって開き直ればおしまいですしね。
だから、別にそんな単純な話で済ませるつもりもないです。RMT業者がRMTをきちんと認めて欲しいとかいってたんで、ソレに対する論理的な反証ってことでひとつ。


まず、RMTってなんなのって話ですが。リアルマネートレード、いわゆるゲーム内の通貨やアイテムを現金取引するってモノですね。
現在、世間様にはこのRMTを専門に行う業者、つまり法人格が実在します。
ゲーム規約でRMTが禁止されていても、規約自体には法的な拘束力はほとんどないため、事実上こういった業者をメーカーサイドでどうにかすることは出来ません。

せいぜいゲーム内世界から追い出すのが関の山ですが、それでじゃあ二度と入ってこなくなりますか?ってのは無理というものでしょう。

RMT自体を根本からなくす、というのはゲームのシステム的に非常に無理があります。
以前さっさとも話しましたが、MMOの世界というのはあくまで箱庭世界なワケです。人間関係や世界のシステムを簡略化したミニチュア空間。その中に通貨という概念を持ち込む以上、RMTをなくすためにはある小細工が必要になります。

RMTの話をするには避けて通れないのが経済の話ですので、まずは経済の話を軽くしましょう。

皆さんは日本銀行券をご存知でしょうか。そう、お札です。お札の片隅にナンバーが刷られていますね。
何のためか、というと、「日本銀行がお札を何枚刷って、いま世界の市場に円が総額いくらあるのか」を把握するためです。これは何のために行っているのでしょうか。
こっからは経済の話なので私はまったくの門外漢ですので、間違ってたらしっかり訂正をよろ。
まず、円と外貨との為替の制御などがありますが、ゲーム内通貨についての話が発端ですので外貨を無視させていただきます。ゲーム内は完全統一通貨ですから。

単一機軸通貨しかない場合に、市場に出回っているお金の総量を把握する、ということはどういうことかというと、これはインフレ・デフレの防止に他なりません。
市場に一億円の通貨が出回っていて、市場経済がこれで神の見えざる手で均衡を保ったのち、さらに一億円の通貨を追加発行すると、お金の価値は相対的に下がり、物価は上昇します(ただしお金は入手しやすくなります)。
逆に通貨も磨耗しますので、時間経過で市場のお金は減少します。紛失とか焼却とかするアホも居ますし。
その補充をまったく行わなかったら市場に出回っているお金の総量は原則として減りますから、相対的にお金の価値は上がっていき、物価は下落します(ただしお金は手に入りにくくなっていく)。

これがいわゆるマルクスの市場経済理論だったんじゃないかと。ぶっちゃけ経済なんて中学でやったとき以降一切気にしては居ないので、信憑性0ですが。
外貨との絡みがない以上、非常にシンプルです。しかもスタグフレもおきません。基本的に発行した通貨の総量で物価は一意に定まり、そこからのブレはほとんどおきなくなります。

あくまでMMOは世界のミニチュアですから、しごくシンプルな形に持っていけばいいです。同じマルクス主義でも捕らえ方が違うとか派閥が違うとかそんなんどーだっていいんですw 基本原理さえしっかりすればいい。


では、MMOの中に戻ります。


MMOでは通貨は単一の機軸通貨のみで、他の通貨レートはなく、為替の概念も必要ありません。
つまり、信長で言えば貫。この市場規模は”一定に定まりません”。ゲーム内市場に出回る貫の量も増加し続けるだけであり、減少することは”ありません”(NPCなどへの回収を減少と見ることも出来ますが、現実との比較をもってするのであればコレさえも市場の一部といえます)。
なぜかというと、

原料採取->加工->商品販売

このサイクルを行うに当たって、原料採取にコストが掛からないためです。
原料は市場に増加し続け、それに対する対価として貫も供給され続けます。もし貫の市場流通量を一定に定めてしまっていたならば、原料があふれ、相対的に貫の価値がどんどん上がり、物価は下落し続けます。
いわゆるデフレですね。

これを解消するには、

・原料採取に当たってもコストを必要とするようにする

いわゆる循環経済の導入、ですね。この場合NPCを含めて市場の貫は一定に保たれます。NPCは持っているお金がなくなったら商品の買取は行えません。商品が売れるまで、NPCは買い取り不能になるわけです。加工された商品寿命にもよりますが、市場規模が小さい場合、市場が停滞しやすくなります。

そこで経済の停滞を避けるため、

・貫を原料の供給量に応じて追加発行する(Mobを倒して得られるお金も追加発行のうちです)

とします。これが現在の世界。
ところが、こちらの場合経済の停滞は発生しにくくなりますが、通貨が循環しないという問題を抱えます。これは、相対的に通貨価値を下げていくため、インフレーションを誘導します。

そのため、通貨の循環のためには市場に出回った通貨を回収せねばなりません。これが販売を行うNPCの役割になります。アイテム販売によってNPCに回収され市場から消失する通貨の量が、原料供給によって発行される通貨の量より少ない場合は通貨価値が下がりインフレを起こし、多い場合は通貨価値が上がりデフレを引き起こします。

つまり、この場合物価の安定を図るには発行通貨量≒回収通貨量の世界でなくては物価が安定しないことになります。

さてクイズです。MMOの中で、システムは回収通貨量と発行通貨量のバランスを把握できているでしょうか。

考えるまでもないですね。システムとしては”把握することは可能だけど、把握していないし、その調整も行わない”。
調整を行う、というのは発行通貨量>回収通貨量となってきたときにNPCのアイテム買取が行われなくなり、アイテムの販売のみが行われ、通貨量のバランスが取れるようになるまでこれを維持することでインフレを防止することです。
もちろん、逆の場合は販売が行われなくなり、買取だけが行われ、通貨量のバランスをとることです。

実際には買い取りや販売が”行われにくく”なるだけで完全に禁止されることはないでしょうが、そこまでしないとシステム的に物価の安定を図るのは難しい、ということです。
通常のMMOではそこまで調整できませんから、普通インフレが進行します。つまり、貨幣量は市場では増大してゆき、物価は上昇を続けます。
”涙は値上がりしてるけど木材は値上がりしないぞ!”とか思った人。物価指数って調べてきなさいw

市場経済の論理では基本的には個々の商品を見るものではありません。


箱庭世界であるMMOですから、本来であれば現実世界の管理通貨、市場経済の概念を有る程度正しく実装しないと経済規模は膨れ上がり、いずれ破綻してしまいます。
ここをガチガチに固めてしまったMMOであれば、物価は安定し、市場通貨量はある一定の水準に保たれるでしょう。
#これは逆に言えば、勝ち組、負け組みが出るということです。がんばればみんながそれなりに稼げる、のではなく、稼げるヤツ稼げないヤツがモロに発生しうることを意味します。

市場の通貨量がある水準を保つ、ということは、お金を持っている=他のヒトから巻き上げたことに他なりませんから、当然巻き上げた側は勝ち組ですし、巻き上げられたほうは貧乏になるだけです。
あまりにリアルに現実っぽくなってしまい、ゲーム的ではないでしょうが、箱庭世界を実現するならおそらく必要な措置だと思います。

…しかたないから成熟させて共産主義経済を、とか言い出さないでねwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

つまりですね、何が言いたいかというと、MMOの内部は”常にインフレ傾向”の経済が動いているのだ、ということです。
NPC販売に高価値で高額な商品を追加することでこのインフレ傾向を軽減することは出来ますが、運営側でどこまでインフレを許容するか、という話に帰結します。


さて。ここにRMTが登場したとします。
これが何を意味するかというと、タダでさえインフレ気味で破綻への道を歩む経済システムに、管理通貨である円が”外貨として参入する”ことを意味します。
そして、その為替レートはMMO内の市場規模に左右されます。

優秀な経済市場を持つ通貨と、破綻への道を歩んでいる通貨との為替が始まればどうなるでしょうか。

すごく簡単な話です。外貨として参入する前に、”十分に多い”貫を確保し、外貨として円参入。速攻で貫を市場に放出し、円を回収。
これを繰り返すだけです。なんせ為替の手数料さえ取られませんから、ハゲタカファンドよりたちが悪いと言っていいでしょう。
まず貫の売りで十分に多い量の貫を放出します。貫はインフレ傾向にありますから、貫安円高が進行し続けています。

さらに悪いことに、管理通貨ではない貫は”なにもないところから”生み出すことができます。
単なるゲーム内インフレに過ぎないのであれば、ゲーム内の貫の入手は容易ですから、物価の上昇も流通通貨量に応じたものになりますが、ここに外貨が参入してしまうと、外貨の参入量に応じたゲーム内のインフレ加速が起きます。

少ない円で大量の貫を回収すれば、出回っている貫の量は多いので物価は上がっていくままですが、貫を小数が専有することでスタグフレーションを起こせます。
ここで貫を売りに出すと、今度は貫高円安傾向を発生させることができ、さらに多くの円を回収できます。
この円でさらに貫を(以下略


やろうと思えば、ゲーム内の小規模市場通貨価値などあっという間に破綻させうるわけです。


RMTの実体は、単なるゲーム外取引、というだけではなく、そこには、鎖国している国に対して非常に強い力を持つ外貨の強制介入といっていいでしょう。
普通、んな行為は明らかに対象の経済システムの破壊目的、あるいは絞れるだけ搾り取ってはいさようなら、を目的とします。

RMT業者の実態はまさにそこかと思います。

RMT業者はゲームの市場経済が破綻し、サービスが終わってもほとんどリスクを負いません。別のゲームに移ってまた利殖すればいいだけです。が、メーカーにとってみれば何年もかけて作ったゲームが、外貨の介入一発で終わってはたまったものでは有りません。
そして、それをシステムで防止するのは非常に困難であり、法的対処も取りにくい、という現状。

それを好意的に受け止めろ、とそのゲーム世界の中で遊んでいるプレイヤーに要求するのは、あまりに無理があるとは思いませんか?
貴方の家では明確に泥棒とわかってて、泥棒を名乗ってる人を「ようこそ!」って招き入れるのでしょうか?

続く。

0 thoughts on “RMTの話 その1(長文注意)

  1. うわぁ、確かに判りやす!!
    まあ、こうやってみたら如何にJ糞cが金銭主義団体か判るね…
    PC用HDDがリッピングに使われるからといって課金しようとかふざけるなと言う事例に困らない団体だし…

  2. そりゃ金を回収するための団体ですからw
     
    言いたいことは山ほど?あるが。
    まぁ、昔の宮廷よろしく音楽家のパトロンになれば搾取する側になれますw

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