ドワンゴvsクリプトン…になるのかな。

みくみくにしてあげる騒動の適当なまとめ。

みくみくにしてあげる、がドワンゴミュージックを背景にカラオケなどに展開するにあたって、JASRACに登録されました。
登録したのは、ドワンゴミュージックパブリッシング。

正題:みくみくにしてあげる♪【してやんよ】
副題:してやんよ
アーティスト名:初音ミク
作品コード:146-2107-0

作詞:IKA_MO(信託状況:無信託)
作曲:IKA_MO(信託状況:無信託)
出版者:ドワンゴ・ミュージックパブリッシング


さて。作者さんのサイドとしては、すでにドワンゴに権利移譲を行っていたとのことで、ここは問題ありません。

これを受けて、ドワンゴはJASRACに登録。ここも問題ありません。もともとニコニコの関連でJASRACと交渉に入っていましたしね。
他の著作権団体を使うって手もあるとは思うんですが、そこは置いておきましょう。

現状私として問題を感じているのは「初音ミク」をアーティストとして登録したことです。

知っておいていただきたいのですが、「VOC@LOID2 初音ミク」というキャラクターとその著作権はクリプトンフューチャーメディアに存在します。
クリプトンは初音ミクを使ってオリジナル曲を作曲すること、そしてそれを自由に公開することを許可しています。

一見なんの問題もないじゃないか、と思うかもしれませんが…あります。

”初音ミク”という架空の存在に対する著作権はクリプトンが保持したまま、なんです。
楽曲と歌詞に対する著作権は作曲者にあります。
そして、クリプトンは自由に公開する代わりに、ひとつ条件を提示しています。

”初音ミク”という存在を前面に出さないこと。

これが条件です。本来であれば、ニコニコの初音ミクに歌わせてみた、的な表示も抵触する条件だったりするんです。ただ、同時にピアプロなどを展開し、キャラクターの二次創作に対してかなり寛容なクリプトンとしては、それをある程度容認する方向であることも公開しています。

アーティストとして、初音ミクを登録したこと。

これは、クリプトンの保有する権利を無断でドワンゴが盗用したと捉えるに十分です。
ひろゆき、てめぇなにやってんだこのくそたらこ。

この件に関してクリプトンは現在ドワンゴからの一切の説明がなかったことを公表、抗議と説明を求めました。


ピアプロ、という入口は用意した。

こんばんは、クリプトン伊藤です。「みくみく~」のJASRAC登録の波紋が拡がってきましたので、説明責任を果たさせていただきます。

まず、私がこの事実を確認したのは、12/17(月)の午後、CloseBox and OpenPodからの記事でした。直ぐにドワンゴ・ミュージックパブリッシングという会社の連絡先を調べ、電話しましたが、担当者が不在のため折り返しの電話を待ちました。夕方5時半過ぎに連絡を戴きましたので、この件について説明を求めました。「何故JASRACに登録する必要があったんですか?」と。また、「アーティスト:初音ミク」という表記についての事前の相談はありませんでしたので、それに対する抗議です。

「初音ミク」という1つの音楽ソフトを通じて、才能あるクリエイターに正当な注目が集まることは大変喜ばしいことです。その様なクリエイターが多く育って、そして正当な対価を得られるようになることが、次のクリエイションを産むためには必ず必要です。しかし、現状の著作物利用料の分配の仕組みは、JASRACなどの仲介を得てはじめて実現するようです。例えばカラオケで「みくみく~」が配信されてますが、どれだけ歌われようが、JASRACなどの管理がなければ悲しいかな分配ゼロです。CGMの「入り口」として「ピアプロ」サイトを構築してますが、どうやら「出口」もしっかり用意せねばならない気がしてきました。

今回の件は、ドワンゴ社とも話し合う余地がありますので、弊社としても出来るだけ頑張ってみます。


投稿者 itoh : 2007年12月19日 00:46



そして、正当な対価をクリエイターが得るべく、出口も用意する考えであると。
正直、ちょっと感動しました。クリプトンが二次創作に寛容なのはまあ良くわかってる会社だなーくらいに思ってましたが、正直そこまで考える気があるとは思っていませんでした。

これは、CGMとして成長していくメディアにふさわしいビジネスモデルを、という提言にほかなりません。
JASRACはそのモデルの交渉そのものを拒否し、既存のビジネスモデルを保持することを選んだ組織でもあるわけで。
権利関係は法律家がこねまわせばいいことです。僕らは、僕らが楽しんだものの対価をしかるべき人にお支払いしたいだけです。

CGMは消費者とクリエイターの距離がとても近い世界。それだけに、消費者はより適正な対価を適正な人にお支払いしたいだけです。
目の前に大家さんがいるのに、なんで100kmも離れた場所の賃貸会社に手数料込みで払いに行かなければならないのですか、と。目の前の大家さんに払えばいいんじゃないですかと。
CGMってのはそういう世界だと思います。

ドワンゴの今回のクリプトン無視の姿勢はいただけないですし、理解できません。したくもありません。
まあたらこ死ねとは思いますが。まとめblog記事書いてる場合かお前は。

また、今回の件で問題になるのはそれだけではありません。

請求権はこれによりJASRACに委託されます。作者さん、そしてドワンゴの意思と関係なく、みくみくにしてあげるの楽曲に対してはJASRACが請求するかどうかを決定します。
作者の友人Aが演奏しまくって、作者さんがいいよ、いいよwって言っても。JASRACが請求すると決めたら友人Aは支払わなくてはなりません。権利委託とはそういうことです。権利は保持していますが、その権利行使の権限はすでに作者さんにないのです。
※厳密にないわけではないけども、作者さん以外にその楽曲の権利行使権の一部を移譲したと言うべきですかね。

これが旧来のモデルです。そして、ドワンゴに移譲されているのは許諾権に当たるもの。
つまりやろうと思えば、みくみくにしてやるよ、はピアプロに掲載できなくなります。ドワンゴが行使すれば。
作者さんがピアプロには掲載したいと望んでも、ドワンゴがそれを認めなければ、ピアプロに掲載されたものは権利侵害となります。
それに対する請求権はJASRACが有します。

クリエイターはどこに存在しているのでしょうか。あまりにも無分別、無思慮な行動ですね、ドワンゴは。
ミクの名前も、キャラクターも、その性格付けも、アーティスト初音ミク、の存在も。それ自体はすべてクリプトンが有しているものです。
クリプトンが許諾したのは、楽器としての、音としての初音ミクの声を自由に利用して楽曲を作ってよいと定めているだけです。

今回の件、作者さんにほとんど非はないと思います。あるとすればドワンゴを信じたこと、くらいでしょうか。
今後のドワンゴの対応と、ピアプロの動きは、しばらく注目しておきます。

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