これがまかり通ったらなんでもありだろう

捨てられていた石油ファンヒーターを使用し、7人がCO中毒で死亡・・・遺族がメーカー相手に損害賠償訴訟

さらっと読むととんでもない話ですよね。沙耶です。


真面目に読んでもとんでもない話だよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

サヨク新聞、北海道新聞によるとこういう経緯とのこと

擁護してる連中が騒いでいるのが以下の点。
・機種に欠陥があったんだから拾ったものであろうとなかろうと損害賠償すべき
・入手経路はこの場合考慮に入れてはいけない

確かに、該当機種は1980年台にリコールがかかった商品であり、メーカーには回収義務が存在します。
しかし、入手経路をこの場合無視できる、とするのであれば回収と廃棄の明確な差異を明らかにしなければならないでしょう。

まあ、とりあえずひとつずつ行きましょう。

機種の欠陥によって一家が死亡したのだから、トヨトミに責任がある、としている点。

この点に関して、こちらをご覧ください
blog記事ですいません。

izaのオリジナルソースがもうないようですので。

ヒーターは廃棄物=業過致死傷の立件困難に-苫小牧7人CO中毒死

北海道苫小牧市のアパートで7人が一酸化炭素(CO)中毒死した事故で、室内で不完全燃焼を起こした石油ファンヒーターは正規に購入されたものではなく、死亡した女性の親せきが拾ってきた廃棄物だったことが12日、道警苫小牧署の調べで分かった。
 メーカーがヒーターの自主回収をしていたこともあり、道警が業務上過失致死傷容疑でメーカーの刑事責任を問うのは困難とみられる。



つまり、廃棄物であった場合、業務上過失は認められない、という判断が下されていることになります。
検察はこの条件での立件は極めて困難であると判断したのでしょう。
また、機器自体もリコールが行われており、廃棄者にリコールに応じずに廃棄した責任はあるかもしれませんが、そこに違法性を見出すことも難しいでしょう。
消費者にとって、回収と廃棄の二つに明確な差異はないのですから(法的にはもちろん違いますが)。

つまり、この二点から入手経路がいかなるものであってもメーカーの責任を問える、と擁護するにはきわめて無理があることは容易に理解できると思います。

・メーカーは欠陥品の欠陥を知っており、それに対しての法的措置と回収措置を取っていた
・メーカーがすべての購入者を把握しているわけではない
・メーカーは消費者が商品を廃棄処理することに対して制約や拘束力を持ち得ない

これはどなたでも理解できると思います。
あなたの家の電球が切れたら、電球の廃棄に対してメーカーに許諾を出しますか?
あなたは電化製品を買う時に、常に自分の身分と住所を明らかにし、メーカーに通知し、さらには移転などの際にはそれをすべて通知していますか? 所有権が移動する際はそれを通知していますか?

さて。普通の人はここまで話せばだいたい分かってくれます。
普通じゃない人はなぜか分からないみたいです。

ID:VYsvG9Qb0とかな。

514 名前:名無しさん@八周年[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 21:23:05 ID:VYsvG9Qb0
欠陥が原因で死んだなら賠償金取れるだろうね
故障なら無理だけど。

602 名前:名無しさん@八周年[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 21:29:07 ID:VYsvG9Qb0
捨ててあったものであろうとなかろうと関係ないのさ。
重要なのは欠陥が原因で事故が起こったかどうか。
欠陥が原因で死んだなら賠償取れるよ。

895 名前:名無しさん@八周年[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 21:48:43 ID:VYsvG9Qb0
入手手段は関係ないから。「事故原因が何か」が問題。
そこだけ考えれば良い。

951 名前:名無しさん@八周年[sage] 投稿日:2008/03/23(日) 21:53:15 ID:VYsvG9Qb0
「捨てられていた物」という要素を排除しろ。
そうしないと冷静な判断が出来なくなる。



捨てられていた、ことを加味した結果として刑事訴追を諦めています。また、自主回収が行われていた事実もあり、事故原因がたとえ欠陥に起因したとしてもメーカーが法的に正常なリコール措置を行った以上そのリコールを超えての責任訴追は過剰であると感じるのが一般的でしょう。
民事で追うなら製造物責任法、いわゆるPL法ですが、

PL法条文より

第二条 この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。

2 この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。



さて。状況は関係ない、と言っていますが、総務相のHPではこのようにも記載されています。

問3 具体的には,欠陥判断はどのようになされるのですか。

——————————————————————————–
答え 欠陥の有無の判断は,個々の製品や事案によって異なるものなので,それぞれのケースに応じて考慮される事情やその程度は異なり得ることになります。例えば,製品によっては,表示や取扱説明書中に,設計や製造によって完全に除去できないような危険について,それによる事故を回避するための指示や警告が適切に示されているかどうかも考慮されます。また,常識では考えられないような誤使用(異常な使用)によって事故が生じた場合には製品に欠陥は無かったと判断されることもあります。この法律では,このような考慮事情として,共通性,重要性,両当事者に中立的な表現ということを念頭に,「製造物の特性」,「通常予見される使用形態」及び「製造業者等が当該製造物を引き渡した時期」の3つを例示しています。

争点は、「廃棄物を取得し、それを利用する」というのが”常識では考えられないような誤使用(異常な使用)”に当たるかどうか、ということにかかってきます。フツーに考えて異常ですが。
また、すでに自主回収を行っていた、という点は「設計や製造によって完全に除去できないような危険について,それによる事故を回避するための指示や警告が適切に示されているかどうかも考慮」に該当するものと判断するのが至極まっとうではないでしょうか。
そうでなければ、リコールを行う意味がなくなるからです。リコールしようがすまいが同じことならする意味なんてありません。
リコールして「死ぬかもしれんから使うな」って言ったうえでその点について免責されなければ、リコールの存在意義そのものが薄れるのです。

このため、廃棄物であることを視野外に置くべき、という主張は論拠として不適切です。

また、取扱説明書に廃棄方法についての指示が書かれていれば(通常書かれています)、それの履行者たる廃棄主にその責を民事で問うことは可能かもしれませんが(拾われるようなとこに廃棄した、正規の廃棄手順を踏んでいないなど)、廃棄者は製造者ではないのでPL法による強力な拘束力は持ち得ません。

捨ててあるものを勝手に持ち帰ることは法的には犯罪行為です。
このため、法規定から言えば、廃棄物を持ち帰り、使用した行為そのものがPL法の定義条件を逸脱している、と考えるのがきわめて一般的な判断。
この案件、今回の訴求前のサイトはトヨトミが悪い、みたいな論調のサイトばかりで辟易しました。

さ、いい加減これで廃棄物だったこと、が不可分であることくらいは分かってもらえるんじゃないですかね。

ま、あんま関係ないけど事件そのものも見てみましょう。

一酸化炭素中毒、ってどういうものか知っていますか?
非常に検知しにくいもので、初期症状は軽い頭痛とかくらいです。500ppm程度で初期症状があらわれ、1000ppmで非常に顕著な症状が現れます。そして、1500ppmで致死状態に到る、非常に危険な中毒症状です。

私が知っている事例では、24時間近く一酸化炭素の充満した家屋で生還した例がありますが、非常に稀な偶然が重なりあう必要があります。
1500ppmは大気中の含有量が0.15%という非常に小さなものです。この濃度での中毒状態では2時間以上の生存は稀です。

それでは最初の記事を見てください。

「調べでは、5人が和室で、2人がトイレで死亡。入院した堀川さんの妻・美樹さん(25)は居間に座っていた。死後、半日から数日経過していた遺体もあったという。」

一人、生還しています。そして、半日以上経過した死体もあります。子供は体重が軽いから早く致死に到りますが、大人も致死に至っていますので大気中濃度は1500ppmを超えていたことは明らかです。
※この前段階で失神しますので、通常一酸化炭素中毒での自覚症状はありません。

計算が、合わないんですよ。

1500ppmを超えると、約2時間で死亡します。
もちろん、この中での長期生存例はありますが、非常に条件は厳しいものです。

条件1:完全密閉空間で、大気対流がほとんど発生しない状態であること。
※人間が活動中はこの条件は成立しません。このため、全員が失神するなどして宅内の対流がほぼ完全に停止する、停滞状態になる必要があります。

条件2:条件1よりCOは比重の軽さから室内上方へ。もっとも幸運なのは二階建てや三階建ての場合で、COはゆっくりと上層階に溜まり始める状態。

この状態で、1Fなどで失神した場合、1Fの濃度が致死濃度に至るには非常に長い時間がかかります。
この状態の場合、発見までの猶予が伸びるため、生存可能性は極めて高くなります。

さて、この事件ではご一家が住んでいたのはアパートの一室。ハイツ型だとしてもせいぜい二階建てですが、部屋番の付け方からしてワンフロア型。つまりですね。

ほぼどの部屋にも均等に一酸化炭素はたまっていく状態なんです。
可能性としては外気温との差が小さくなってくれば対流は止まりますし、外気とは換気扇などでつながっているでしょうから完全密閉ではないだろう、ということでしょうか。

この状態で、ひとり生還してるのですから、中毒発症から数時間以内に救出されていなくては、本来は生還は望みにくいんですが…。

ここによると、数日前から連絡が取れなくなっているのです。
美樹さんは、失神状態で数日間を生き抜いたことになります。高濃度一酸化炭素の部屋の中で。
美樹さんの姿勢が非常に床に近い位置に倒れているなどの状態であったならば。

”居間に座っていた”????
もうここまでくるとレアケースもいいとこですが…。ないこたぁないですね。姿勢と呼吸位置と周辺環境の状態次第ですが。また、北海道ですし外気温との差が小さくなってしまうことによる低体温が発症していたのかもしれませんね。むしろ凍死の可能性があったのかもしれませんが。

仮死状態などの場合、脳が酸欠に陥りますから北海道の気温のおかげで低体温症を発症、脳が冬眠モードへチェンジすれば”ありえない”話ではありません。
人間の冬眠モードというのも存在します。
単なる低体温仮死状態だと普通に脳死しますので、低体温になりゃいいってもんでもないですから。

2006年、10月7日に六甲山で遭難した男性が陥ったのが冬眠に近い症状でした。23日間をほぼこん睡状態で乗り切り、発見時の体温は23度。ほぼ後遺症なしで蘇生されています。

いずれにせよ非常に幸運だったと言わざるを得ないかとは思いますが、その原因は廃棄物利用をしたからであって、メーカーに責任がある話には到底思えません。
誰かのせいにしないと落ち着かないのかもしれませんし納得できないのかもしれませんが、恨む相手を間違えていると思います。

0 thoughts on “これがまかり通ったらなんでもありだろう

  1. ドライバが不要なアイテムを使えばOK!
    ※スピーカーだけじゃねぇか!って突っ込みは却下。
    SE-系のサウンドカードもモノは悪くないので動けば割と使えるとオモ。

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