そんじゃ、実際に何が起きたのか、何が起きているのかを追ってみよう。
まずは「みくみくにしてあげる」の件からだ。
これは非常に単純な話。作者のikaさんはドワンゴに対して著作権の信託をした。
ドワンゴは原著作者であるikaさんの許可を得て、JASRACへの登録と代行徴収の信託を行った。
ここはikaさんも認められている部分でもあり、ここに錯誤はないと信じたい。
だが、彼の発言を見る限り、彼がどこまできちんとドワンゴからの説明を受けていたのかは怪しい。
ikaさんが学生である、という話も聞いたし、それを踏まえるとどうもドワンゴが食い物にしたんじゃないか、って疑念は残る。
ikaさんはblogの表明を最後に沈黙。沈黙は金、雄弁は銀。心ないコメントも多かったですが、個人的にはikaさんには同情の余地が多分にあると考えています。
ドワンゴがどこまで正確にikaさんに説明していたのかがあまりにも不透明な情勢。
そして、この状況において、他の楽曲の原著作者の方々からドワンゴの不正な楽曲利用が明らかとなっており、ikaさんただ一人が正確な説明を受けていた、と考えるにはあまりにも不適切かつ可能性の低い推測となります。
演奏権の譲渡
演奏権がJASRAC委託になっております件につきましては、楽曲の使用に関しまして要らぬ制限をかけてしまう事となってしまい誠に申し訳御座いません。この点に関しましては偏に私の勉強不足と認識不足の結果で御座いますので、ご批判、ご叱責を甘んじて受けたく存じます。
みくみくにしてあげる、はその演奏権も含めてJASRACに信託されています。これは、つまり、楽曲の演奏に当たってはJASRACの許諾が要ることを示しています。
ikaさんもこれを素直に失態であることを認められています。これ、ドワンゴはちゃんと説明していたのでしょうか。
勘違いしていただきたくないのですが、沙耶はJASRAC大っきらいですが、原著作者がJASRACを選択することを批難する気は全くありません。現時点で、クリエイターにもっとも大きくバックさせることができるのがJASRACであることも間違いではないのです。
現実解として、それを選ぶことを沙耶は否定しません。ましてや、ドワンゴがJASRACと包括契約交渉にあたっており、ikaさんの信託先がドワンゴであることを考えれば、そこにikaさんの意思がそれほど反映できるものであるとは思いません。
ドワンゴへの信託を解除し、ご自身でライセンスを管理するとなれば着うたなどの販売も難しくなるでしょうし、くだらない手続きで才能を潰してしまうなど、あってはならないと思います。
ですから、彼がJASRACに信託されることを是としたこともまた、批難されるべきではないと考えます。
というか、どういう脳みそしてたら批難できるのかがわかりません。
アーティスト名が初音ミクになっていることはドワンゴの失態であるとドワンゴも表明していますし、これがikaさんを批難する理由にもなりません。
つまり、現時点でikaさんを責めるところは私の知る限りほとんどありません。この、演奏権のことを除いて。そして、この点に関して、ikaさんは自らの失態であると表明され、謝罪もされています。
演奏権とは、その楽曲を演奏することそのものにかかる権利です。このため、演奏権が信託されている場合、原著作者がいくら「演奏してもいいよ」と言っていてもJASRACの許諾を得なければなりません。
そして、ikaさんはこれまでたびたび、みくみくにしてあげるの原曲、オケを利用して二次創作やアレンジなどによる作品をずっと推奨されていらっしゃいました。
後者は、演奏権をikaさんがお持ちになられていない場合、成り立たないのです。個人で演奏する分には制限はありませんが、それを公表し不特定多数に聞いてもらうことはできません。
そして、これを信託するのはikaさんのこれまでの言動と見比べると、あまりにも異常なのです。
最悪(やろうと思えば、です)、みくみくを利用した楽曲の動画やmp3を作成し、サイトで公開している方は(いくら以前からikaさんが使ってくれて構わないと表明していたからといって)、その公開に対してJARACとの許諾がないことを理由に請求されうる、ということです。
これは、明らかにikaさんのこれまでの言動とは相いれません。
これをikaさんの謀略と考えるならばそれでもいいのですが、ikaさんが学生でありそれほど社会で揉まれていない、そして現在のドワンゴの悪行が明らかになってきている現状を合わせると、どうにも私にはikaさんが十分な説明も受けていないまま、ドワンゴに必要だから、と押し切られ、十分な説明も契約もなされていないと思われて仕方がありません。
そう思えてしまう以上、私はikaさんを責める気は出ませんし、責めてる人の神経がわかりません。
ただJASRAC嫌いで脊椎反射されているだけのような気がしてならないのです。
もっとも、それは私の推測にすぎません。事実はikaさんが語らない限り分からないことで、それは今はおそらく望めません。彼は、少なくともしばらくは動かないでしょう。
もしかしたら、こんな思いをするくらいならとDTMから去ってしまうかもしれません。かつての、あの騒動の時に去ってしまった多くの人のように。
ただ、一つだけいえること。
曲には罪はありません。歌詞にも罪はありません。
そして、あれだけ多くの人に愛された曲を作ったikaさんという人物を、私はすごいと思っていますし、彼が小金ほしさ程度の動機でこのトリガーをひける人物であったとは、到底思えないのです。
そして、私がまだ、彼の曲をいろいろと聞いてみたいと思っていることは確かなのですが。
ドワンゴが、今回のトリガーを引くにあたって、一人の才能を喰い物にし、小金に変換しようとしたのであれば。私は、ドワンゴを許したいとは思いません。
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2007/0912/147034.htm?o=0&p=0
こっちも嫁