っていわれたから解説してみる。
Sony BMG Music Entertaimentによって、あなたのパソコンにインストールされてしまう恐怖。
沙耶です。JASRACに続いてSonyです。おまいら、もうほんとね…Avexもね…。
自分の著作権を主張するなら、同時に「他人の権利も侵害しないでください」
まずこれを見て欲しい。
まあ、ふるーい記事だ。が、いまだにこの問題は解決していない。
マルウェアとかrootkitってなんじゃ?ってのはあるかもしれないので、ちょろっとね。
マルウェア、っつーのはいわゆる悪意をもって活動するソフトウェアの総称。ワーム、ウィルス、スパイウェアなどがその代表格。
rootkitというのは、そのインストールされたシステム(ここじゃPCだね)を乗っ取るためのクラッキングソフトウェアのこと。
誇りをもってハッキングソフトウェアなどとは言いませんよ。
さて。んじゃこれは一体なんだったのか。
ソニーBMGは音楽CDにレーベルゲートを導入している。現在レーベルゲート2になっていたはずだ。
このレーベルゲートってのは、「CDプレーヤーで聞くためのデータ」と「PCなどで聞くためのデータ」がそれぞれ入っている。CDで聞くほうは普通のCDのデータと同じ(圧縮されていて音質劣化とかの問題はあった気がするが)、とされている。
今回問題なのは、PCデータのほうだ。
こちらは、データをPCで視聴するためには、専用のプレイヤーをインストールしなければならない。
このプレイヤーはCDに同梱されており、CDを挿入するとインストールをするかどうか聞かれる。
そう、あくまで「プレイヤーをインストールしますか?」と聞かれるのだ。
もちろんインストールしなきゃPCでは再生できないので、インストールするだろうね、多くの人は。
このプレイヤーのコンポーネント(機能)の一部に大問題があったのだ。
列挙してみよう。
1.特定の文字列を持つファイルを、Windowsからは参照できないようにする
これは、Windowsの基本機能であるファイル管理部分を乗っ取り、このプレーヤーのコンポーネントによる管理下に置く。こうすることで、ファイルはあるのに存在すら分からない状況を作り出す。
多くの、というかファイルの管理はOSの機能であるため、通常のソフトウェアはファイルを探すのにすべてこのOSの機能を使う。もちろん、ウィルス検出ソフトウェアも、だ。
ところが、そこが乗っ取られるため、一部のファイル(特定の文字列を持つファイル名のファイル)はまったく見えなくなる。ファイルが見えないのだから、当然そのファイルの検査は行われない。
2.ソフトウェア自身の主要コンポーネントを隠す
1.の機能を利用したものだ。特定の文字列のファイルにすることで、Windowsからは一切参照できない。
3.CD-ROMアクセス部分のドライバ関係を乗っ取る
これらすべては、CDのデータをコピーされないためのコピーガードとして導入されたもの。
そして、このソフトウェアはWindowsの機能そのものと置き換わるため”アンインストールできない”。
通常の手段でプレイヤーをアンインストールしても、これらの機能はWindowsを乗っ取ったまま居座り続ける。
さらに、問題なのは、プレイヤーのインストール時に提示されるエンドユーザーライセンス契約書。
ここには、このようなWindowsの基本機能を侵害する、などの文言は一切無い。
ユーザーは何も知らぬまま、自らのPCのWindowsそのものの機能の一部を書き換えられ、乗っ取られ、特定の名前のファイルは一切見えなくされてしまうのだ。
見えなくなるだけだ。実行などはできる。削除も出来る。だが、削除なんかしたら、当然Windowsの基本部分がかけてしまい、Windows自体が正常に動作できない状況に陥る。
これを復元するのは、それなりの手間とヒマとスキルが必要になることだけは確実なのだ。
だが、手間とヒマとスキルをかけてこの機能をうまく削除しても、CD-ROMドライブは認識されなくなる。
ソニーはこれに対し、決してコレはセキュリティを脅かすようなものではない、と宣言している。
だがちょっと考えてみよう。悪意ある第三者が、この「ファイルが見えなくなるファイル名」のウィルスをバラ撒いたとする。
あなたは、それがあなたのPCを侵食しているのか、それとも侵食していないのか、分からないのだ。
それが、どういうことかくらい、少々アホでも分かる。少々どころか、ものすごいアホでも想像はつく。
つまり、ソニーはそれをはるかに凌駕した、超越したかのごときアホだったわけである。
さらに、ソニーBMGからはこれに対するパッチが提出された。
セキュリティを脅かすものではないが、ファイルを見えるようにしますよ、というのだ。
よかったコレで一安心。
ちょっと待って。
プレイヤーをアンインストールしてみよう。
…ファイルは見えるようになったが、そのファイルはアンインストールされない。
Windowsが乗っ取られている状況は、まったく変化していないのだ。
このソフトウェアコンポーネントに問題があり、それを利用した攻撃が行われた場合、容易にあなたのPCはクラッカーの手に落ちるだろうし、ファイルを隠す機能を復活させられてしまうのも難しくは無いだろう。
今度は、クラッカーにより任意の名前のファイルが隠されてしまうかもしれない。
そして、これはあたかも”Windows”の欠陥であるかのように見えてしまう。
Sony BMGによる「クラッキング」であるにもかかわらず、だ。
#もうあえてこの行為はクラッキングと言うぞ。
これが法的に問題ないのであれば、エンドユーザーライセンスなど意味を持たないし、他人のPCを乗っ取ることは違法ではないということだ。
なにせ、このソフトウェアは「他人のコンピューターを乗っ取る」ことを目的とした技術によって作られているのだから。
あなたのPC。あなたの所有物。そう思っているのはもはやあなただけだ。
音楽業界は少なくとも、消費者のPCは自分たちの任意に支配していいモノであり、他人の権利は無視してでも著作権は最優先されるべき事柄にまで昇華してしまった。
基本的人権すら、そのうち著作権の前には屈服せねばならない日が来るのかもしれない。