ボーカロイドの著作権 4

さあ、最後は会社関連の動きです。
今回のムーブメントの仕掛け人はもちろんドワンゴ、そしてクリプトンの二つが主体ですが、初音ミクの商標管理や許諾請求の窓口としてもう一社噛んでいます。基本的に初音ミクの名前を商用利用したい場合、まずこの会社に許諾申請を行い、クリプトンがこれを許可する格好です。

まあそれが専属販売契約を結んでるフロンティアワークスってわけです。

分かりやすく言い直せば抱き枕カバーの販売元だよwwwwww


クリプトンが”初音ミク”の使用権を専属的に与えているのはフロンティアワークスだけです。
つまり、これ以外の企業が商売に初音ミクを使おうとする場合、クリプトンの許諾を得る必要があります。

ちなみに、フロンティアワークスは権利ホルダーではないので、許諾を発行することは”できません”。
権利ホルダーはクリプトンフューチャーメディアです。

ドワンゴはJASRACに歌手初音ミクで登録されてしまったのは手違いであると強調していますが、3の経緯を見る限りその言葉を素直に聞く気にはなれませんね。

クリプトン側も今回の件はかなりキているらしく、伊藤社長がかなり活発に動いています。

もともと、楽器としての(そもそもインストゥルメンツとして売ってる)ミクは、楽曲の一部です。バイオリンのメーカーは、そのバイオリンで作曲された曲をどうするかなんてのは手を加えられることではないのは自明の理です。

ただし、そのバイオリンの名前が”ストラディバリウス”であり、その会社以外の会社が”ストラディバリウスによる演奏!!!!”って書いたCDを作るためには、メーカーの許可が要ります。
ちなみにストラディバリウスは制作者名なのでもう死んでるし自由に使えるんですけどねwwwww

商売ってのはそういう他人の権利と複雑にからみながら作っていきます。これは、自分の権利を尊守してもらうためにも、必要なことです。
しかし今回、ドワンゴはこの許諾をクリプトンから受けていません。ドワンゴの公式発表ではフロンティアワークスに許諾申請を行ったかのように書いていますが、フロンティアワークスからクリプトンへの確認はなく、ホルダーであるクリプトンは許諾を発行する意図がないことを明らかにしています。

つまり、フロンティアワークスが勝手に許諾を出したか、ドワンゴが嘘をついているか、そもそもクリプトンが嘘をついているか、のどれかしかありません。
フロンティアワークスは古くからこの手の著作物グッズ製作をしてきていますから、ここがこんな簡単なミスをするとは考えにくいです。特に、これをやってしまうとフロンティアワークスは事業の性質上、大きく信用を損ない、そもそも他のホルダーからもほされてしまう可能性が高いですし、そこまでのリスクを負ってまでやるメリットがありません。

つまり、クリプトンかドワンゴのどっちかが、嘘。

はい、どっち信じるよ?って話ですね。俺クリプトンな。お前ドワンゴに賭けろよ。

アリプロの発足、使用許諾における二次使用の範囲のデカさ、ムーブメントに向かう姿勢、いずれをとっても伊藤社長が二枚も三枚も上です。
CGMというコンテンツを育てていく、その意思と意図が感じられる言葉と、実行力、そしてそれ以上に

ぽこぽことネット上どこでも現れて必要な情報をばんばんネットに出してくるそのオープンスタイルは、正直惚れそうですwwwwww

というわけで、現状沙耶はikaさんは半分~全面的に被害者、悪者ドワンゴ、正義の味方うろたんだーという方向性で応援中です。卑怯にも勝ちにいくぜ!w

まあジョークはともかく、今回の騒動はCGMコンテンツを如何に育てていくか、そしてその対価をいかにホルダーに帰還させるか、という意味では非常に大きな転機になるとも思います。
e-Licenseなどのコンテンツ管理企業の利用も検討されているようですし。
※誤解のないよう言っておきますが、JASRACに登録しないと徴収できないというのは嘘ですよ?
 著作権管理団体業務の事業申請すりゃ認可されればどこの企業でも徴収活動はできます。ただクソめんどくさいからやらないだけです。そして、JASRAC以外にもいくつかの管理団体は(規制緩和で)生まれています。

カラオケ配信なんかも、別にJASRACじゃなくてもいいんです。管理団体は必要だとは思います。
ただ、それは選択できる自由があっていい。そうであるべきだと思います。
ホルダーに対価がわたるまでの間に、管理団体とクリプトンが中間で手数料を取ることになったとしても、それが問題とも思いません。
それが、ちゃんとクリエイターにわたるのであれば。

JASRAC以外の管理団体の規約を見たことがありますでしょうか。
私は、じっくり読んだことがあります。(ヒマだな、俺wwww)
厳密に、一曲いくらがホルダーに行き、いくらが手数料で、とびっちり書いてあります。
ちなみにJASRACにはそんなもんありません。全部どんぶり勘定です。
原著作者が自身の楽曲を演奏する際なども、JASRACの認可が要ります。

新たにできた管理団体は、少なくとも沙耶が知る限りではJASRACよりずっと適正にコンテンツホルダーに対価を配布するように見受けられるのです。

先のエントリーでDTMとしてのMIDIが消えた、そのトリガーはJASRACだったと書きました。

事実は、違います。

著作権管理事業が、JASRAC一社独占だったあの頃、独占禁止を訴え、著作権管理団体を任意に発足できるよう働きかけが行われていました。
そして、それは実現し、JASRACの独占は終わるのだと。
あのとき、みんな思いました。

そして、JASRACは独占が崩れ、損益が広がることを恐れ、徴収の徹底を仕掛けたのです。
そして、MIDIは消えて行きました。

彼らが規制緩和で生まれたことで、きえていったDTMの火。

それを、ミクが利用することでつないでくれるのなら、あのとき、数多の消えていったサイトと、DTMのユーザーたちの落胆と失望も、まったくの無駄ではなかったと思えるような気がするのです。

願わくは、すべてのクリエイターに幸せな結末が訪れんことを。
伊藤社長に期待しています。

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